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アカデミックディベーター

Author:アカデミックディベーター
日当たりの良い某法科大学院を2009年3月に卒業。
ライフワークである競技ディベートについてぼちぼち書いています

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クリスマスのご挨拶と入院審査に関する方法論
別に忙しかったというわけではないのですが、JDAのトランスクライブの間が空いてしまいました。少数ながら楽しみにしていただいている方もいるようですし、先日の記事について僕の本名でヒットしてしまうという事実を指摘してくださった方もいたりと、それなりにディベート界の注目を集めて(?)いるようなので、この冬の間に少し進め、来年の早いうちに完成させられればというところです。

あと、ディベート甲子園のルール解説についても、折を見て進めていきたいところなのですが、そろそろ集中的な思考作業を本物の法律学に適用する必要に迫られてきているので、こちらのほうはあまり期待できそうにありません。ただ、別の用事でディベート甲子園ルールのうち判定にかかわる部分を軽くまとめたテキストを作成しています。これは一応完成しているのですが、このブログで書いている密度の3分の1くらいで僕の言いたいことをさっくりとまとめたつもりなので、後日それを公開することで代えられればと思っています。

さて、今日の記事は一応「入院生活雑感」ということなので本題に入りますと、先の金曜日に今年の療養日程が全て終わりました。これから冬休みといったところです。
冬学期は総じて夏学期より予習の義務が軽く、手を抜こうと思ったらどこまでも抜けてしまうため、僕も上級刑法と民事実務基礎(要件事実論)以外は手を抜かせてもらっています。ためになる科目もあればそうでもない科目もあり、過去の優れた講義の書き起こしを入手してしまえば講義に出席する必要のないといってよい科目もあります(それはロースクール教育としては望ましくない講義だということです)。とはいえ予習している上記二科目はいろいろ勉強になりますし、他の科目もそれなりに学ぶところはあるわけで、昨年よりは有意義な生活を送っていることは間違いありません。そりゃ家で寝てるのと比べたらそうなるに決まってますけど。

そんな感じの入院生活なのですが、先日はわがガラス棟法科大学院の合格発表がありました。TOEFL必須という謎の政策によって志望者が激減した結果なのか、知り合いも含めて結構な数が合格している印象を受けましたが、問題を聞く限りではそう簡単でもありませんし、落ちている人は落ちているわけで、入院するのも一苦労といったところでしょうか。
もっとも、入院がかなったところで楽しいロースクール生活が歩めるのかというと、僕がこんな日に敢えてブログを書いていることを見ればいろいろ察していただけると思いますが。ガラス棟の授業短評サイトもいつのまにかオンラインゲームの紹介と化しており、入院患者の病みっぷりが目に浮かぶようです。

それでも入院を志望する人はいるわけで、実際ガラス棟の入院生活はそれなりに有意義で他の病院に比べても悪くないところだとは思う(何しろ日当たり抜群ですから)ところですから、特にディベーターでガラス棟を受験される方に何か有益なことを書ければということで、以下入院審査について簡単に思うところを書かせていただきます。
ただ、僕は勤勉な受験生ではなかったので、おそらくあまり参考にはなりません。以下の内容も伝聞のうち経験的に首肯できたものを多く含んでいるということをお断りしておきます。

1.英語の成績は多分ほとんど重要じゃないと思います。TOEFLは受けてないのでよく分かりませんが、僕のTOEICの成績はぶっちゃけ600点台でしたし、周りの人もそこまでよくありません。東大生が英語が出来る…というのは、一部の意欲的な方には当てはまりますが、多くの東大生(とりわけ法学部進学者)は入学後にメキメキと英語力を失っていきます。

2.学部の成績は重要なようで、さすがに明言はされないものの、既習コースの受験では成績がある程度よければ本番で大失敗しない限り何とかなるようです(僕も成績は結構よかったので何とかなったのかもしれない。私大入試でも思い当たる節はある)。ただし、ガラス棟の先生方が他大の法学部の成績をあまり信頼していないというのはおそらく本当で(実際は優秀な方もおられるのですが)、学外の高成績にはそのような神通力は期待できないのかもしれません。あと、成績がかなり良いのに落ちてる人もいますし、逆に成績が厳しかったのに受かっている人もいるので、成績だけで決まるものでもないことは確かです。
ちなみに、学内生で成績を上げたい方は、講義に出るなり工作員を使うなりして講義ノートを入手し、それを参照しつつ頑張って勉強しましょう。予備校のテキストによる学習はあまりおすすめできないので、おとなしく基本書と判例集を読みつつ、講義ノートに喰らいついていけば多分大丈夫なはず(ロー入試対策にもなると思います)。

3.未修コースについては良く分かりませんが、既習者が未修を受けることについては良く思われていないようで、評価にも否定的に反映されている可能性は否めません。個人的には、隠れ既習として3年もあんな場所に通おうと思う人の考え方は理解できませんけど。おとなしく既習を受けるのが純粋未習の方のためにもよいと思うのですが…

4.本番の試験は、過去問を見れば分かるように、それほど複雑な問題は出されず、短い時間内で書くべきことを見極めてコンパクトにまとめることが要求されているようです。実は相当に深いことが聞かれていたりすることを入院生活の中で知ることになるのですが、そんなもの書ける受験生などいない(いたとしても次元が違うので関係ない)わけですから、とにかく基本を押さえれば大丈夫だということでしょう。
勉強に際してはどんな教材を使うかということが問題になりますが、僕はぬるぬると教科書を読んでいるだけのダメ人間だったのでこの点で有益なことは書けません。ただ、学内の講義ノートを精読するというのは結構有用で、刑訴などはやったことがそのまま出題されたりします。学外から受験される方は、工作員などを駆使して学内のノートや学部の過去問(これは生協で売ってます)を入手されることをオススメします。あるいは講義にもぐりこむという荒業も可でしょう。25番教室は誰に対しても平等に開かれています。

5.講義ノートが重要なことは既に述べましたが、当然それだけでは網羅的に学習できないので、基本書を読んでいく必要があります。予備校テキストは実際に当てにならない内容も含まれていますし、ガラス棟の問題意識とマッチしていない&論証パターンを見た瞬間に印象ガタ落ちっぽいので、避けたほうが無難だと思います。
基本書はどれを選んでもよいのでしょうが、せっかくガラス棟に入るのでしたら、ガラス棟の教授陣が書かれた本を選ぶのがよいでしょう。特に刑法なんかは司法試験委員でもあらせられる某先生が「水準を満たしているのは私の本と西田先生(東大教授)のくらい」などとおっしゃっておられたりもします。予備校テキストでも参照される有名なM先生の学説などはもうフルボッコですから、選ばないのがベターというべきでしょう。
あと、個人的にオススメだと思われる文献をいくつか挙げておくと、マニアックながら意外と読みやすくかつ出題意図の深い部分を察知できるようになる『重点講義民事訴訟法(上・下)』[高橋宏志]や、刑訴の重要部分について分かりやすく書いてくれている京大の酒巻教授の連載「刑事手続法の諸問題」(法学教室)などがあります。どうせ入学後夏学期に読まされるので、受験対策で読んで出題されなかったとしても無駄にならないという利点もあります。

6.これは受験とは関係ありませんが、入学後に司法試験対策が行われないというのは本当の話ですし、問題がどこからか降ってくるということもありえない(MLも答練もないし多くの受験科目は2年次で終了してしまう)ので、そういうのに期待する人は受けないほうが無難だと思います。ただ、何だかんだ言ってガラス棟の先生方は水準が高いし、司法試験委員であるかないかにかかわらず学界をリードされている方々なので、講義をきちんとこなしていれば必要な知識は身につく…はずです(ただし民事系を中心に既習者には受験を完全に無視した授業しか用意されていない科目もあるにはある)。
まぁ、試験勉強なんて授業でやられても困るし、結局自分でやるしかないってことだと思いますが。僕は…これから頑張ります。


次回はJDA決勝の1NRを紹介する予定です。

入院生活雑感 | 00:20:00 | トラックバック(1) | コメント(1)
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