愚留米の入院日記
日当たり良好の某法科大学院既習病棟を退院した法務博士の日記。しかし内容はほとんど趣味のディベートの話
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【無料】JDA大会サポートコースのお知らせ
本当は全国大会感想の補足(より一般的な議論解説、論題解題のようなもの)でも書こうかなと思っていたのですが、詳細はあえて言及しないものの、結構な金額のお金を対価としてJDA大会への参加をフォロー(指導?)するという憂慮すべき企画を見つけてしまいましたので、そのことについて書いておきます。
一応、JDA大会に興味を持ち、その結果上記企画への参加を検討した人に向けた説明という体裁で、記述を進めていきます。なお、第2項で表明している協力支援は、可能な限り、との留保つきですが、「ディベート普及」のため、実際に協力させていただくつもりです。

1.JDA大会とは何か
JDA大会というのは、ディベート業界において、日本ディベート教会(Japan Debate Association)が春と秋に開催する、参加資格制限のない二立論形式のディベート大会です(秋は九州でも開催されますが、こちらは「九州JDA」と呼ばれたりします。)。今年の案内はこちらです。
JDA大会は現在日本で行われているディベート大会のうち、少なくとも日本語ディベートでは社会人のディベーターも参加可能な唯一の大型大会であり、日本最高峰のディベート大会といえます。程度は論題や出場選手の顔ぶれによっても異なりますが、上位層のチーム同士の戦いではかなりレベルの高い試合が展開され、上級者向けの大会ということができます。大会ジャッジも、最近は若手(アラサーのおっさんも若手に入れてくれる場合筆者もここに入ります。)ジャッジも参加していますが、他の大会では普段ジャッジをしない経験豊富なベテランもジャッジ陣に加わり、高水準の判定を受けることができます(僕がそういうジャッジをできているのかはノーコメントです)。

ディベート大会の楽しみ方にはいろいろありますので、最上位層のチームに肉薄するまでのレベルではないにしても、JDA大会に参加し、ディベートを楽しむということには大いに意義があると思います。そもそも現在活躍しているディベーターも、最初は挑戦者としてJDAに参加しているわけですから。
しかし、JDA大会は、他の大会以上に競技大会としての色彩が強く、全体的にレベルも高いことから、例えば、社会人が議論能力を向上させようということでトレーニングのために出場するという目的に適しているかというと、そうでもない気がします。もちろん、社会人が出られる「大会」は他にあまりないという事情もありますが、だったら、こういうところとか、こういうところに参加することからはじめればいいんじゃないかな、と思います。もちろんこれらの団体からも有志がJDA大会に出場していたりします。

そもそも、ディベート大会の出場を目指すということは、その結果議論能力の向上につながるということはもちろんあるのですが、「限られた時間で」議論能力を向上させるためのトレーニング方法としては、効率的ではないように思います。社会人は忙しいので、まずは、ディベート的な考え方について、「そのエッセンスを」「楽しく」学ぶことを目指されるのがよいのではないかなと思います。
ましてや、高い金を払ってコーチを雇って大会に出るというのは、何を目的にしているのかというところから冷静になって考える必要があるでしょう。その上で、大会で優勝したいからコーチを雇うというのは、おそらく解決性がありません。というのは、JDA大会に出場する有力チームは、相当のリサーチを積み重ね、練習試合を繰り返して議論をブラッシュアップして大会に臨みます。コーチをやとって大会に出ようなんていうレベルの選手、とりわけ忙しい社会人では、そのような猛者に打ち勝つことはまずもって無理です。というか、それで勝ててしまうような大会に優勝しても価値はないのではないでしょうか。仮に、コーチがものすごく優秀なディベーターであるということで一緒に出場して優勝できてしまうのだとしても(個人的にはこの可能性もないと思います。そのレベルで優れたディベーターを個人的に数名知っていますが、その人たちは変な企画には参加しないし、さすがにその方々でも未経験社会人と組んでJDA決勝に出ることは難しいと思います。なぜなら、JDA大会ではスピーチポイントも考慮して決勝進出チームを決めるため、スピーチに習熟していない選手が入っていると、そこで上位チームに点数で差をあけられてしまうからです。)、やはりそこから得られるものはないと思います。ちなみに、JDA大会で優勝しても、社会的にはマイナーなので他の機会で評価されることは残念ながらないと思いますし、僕を含む多くのディベーターは議論の中身で大会を記憶するので、単に優勝しただけでは優勝者としての敬意すら得ることはできません。

2.JDAに向けた無料サポートコンテンツのご紹介
ただ、大会の優勝云々とは関係なく、誰も教えてくれる人がいないけどJDA大会には興味があるから、お金を払ってでも大会の道先案内をお願いしたいということがあるのかもしれません。まぁそういうこともあるのかもしれませんし、お金が余っているのであればそういうこともあってよいのかもしれません(ただし、そのお金は、国会図書館で論題関連資料を印刷したり、書籍を購入するのに使ったほうが、ディベート大会に向けた準備としては有意義です)。

しかし、そうであっても、お金がかからずにディベートができるならそっちのほうがずっと有意義だと思います。上記で紹介した社会人も参加できる団体は会費なども安いと思いますし、変なセミナー費用も取りません。そもそも、JDAが主催しているディベートセミナー(開催頻度は少なめですが、日本でのディベートの第一人者クラスが講師が担当します。)は4000円とかでディベートセミナーをやっています。それはまぁ、営利でやっているセミナーはもう少しお高いですし、講師の経験などからすればそのくらい支払うことも仕方ないわけではありますが、「ディベート普及」のためにやるセミナーで1万円単位でお金を取るのは、それはいかがなものかというのが偽らざるところです。ディベートって、リサーチとかに凝らなければ、そんなお金のかかる競技ではないのです。

そこで、微力ではありますが、本ブログにて初心者の方に協力(?)できるコンテンツを紹介いたします。
ちなみに、本ブログの筆者は、JDA大会で予選を全勝で勝ち抜き決勝戦に出場し、準優勝をした実績があります。
(決勝では残念なスピーチをしてしまいましたが。。。)

①ディベートテキストなどのご提供
前からリンクは用意してあるのですが、【こちら】のDL先から、これまでに作成したマニュアル、テキスト類を公開しております。分かりやすさは残念ながら保証できませんが、「新書版『競技ディベートマニュアル』」は、情報的には大会に出るために必要な議論の構築方法や準備作業の要領など、一通り網羅してあります。「原稿書式例」は、電波的な要素が混入してしまっておりますが、試合に向けて準備・作成すべき原稿の例が紹介してあります。また、「積極的安楽死法制化論題の私的解説」では、今季論題についての解説を行っております(ただ、役立つ内容かどうかは不明)。
もちろん、公開されておりますので、個人的に使用される分には無料です。

②練習試合のあっせん
必要であれば、個人的な伝手で、練習試合の相手を探すことも可能です。定数にもよりますが、有力チームも多数参加する練習試合も案内可能だと思います。ただし、きちんと準備できていないと、練習試合をやっても効果は薄いです。そこは自己責任であり、それを投げては(コーチにやらせては)ディベートをやる意味はありません。

③コメント欄で質問受け付け
筆者も社会人ですのでスムーズなレスは恐縮ながら困難ですが、コメント欄に質問を書いていただければできる限り応答します。性質上公開したくないようであれば管理人向け匿名コメントでも対応します。そこでご希望いただければ立論の添削なども時間のある限りでは応じます。いずれも「できれば」ベースですが、その代わりといってはなんですが、無料です。

(*)ちなみに、冒頭で問題とした某企画は、すでに申し込み締め切りを過ぎているようであり、意図的かは謎ですが役務提供期間が法定の期間未満のためクーリングオフの対象外になってしまっており、既に支払済のお金は任意で払い戻しを受けない限り取戻し困難かと思いますが、その場合は――いないと信じていますが――高いお金を払っただけのサポートを求めつつ大会に向けた準備を頑張ってください。もちろん、そのような場合でも、当ブログでのサポートを希望される場合は無料で、可能な限り対応します。

3.終わりに代えて
以上は、一部の方にはネタのような中身かもしれませんが、個人的には、ディベート普及との関係でいろいろと思うところがあるため、穏当と思われる範囲内で、当ブログの見解を記させていただきました。

別に僕自身にはほかの人がディベートでどういう営業をしようが、それをとがめる権利はありませんので、間違ったことを書いている場合にそれに突っこみを入れる権利は留保しつつ、特にどういう言うつもりはありません。ただ、いちディベーターとして、ディベートの素晴らしさをできるだけ多くの人に伝えたいと思っているところに、まがりなりにもディベート普及なる名前を掲げておきながら、普通の人は尻込みするようなお金を取ってセミナーなどを開催するのは、看板に偽りありというべきもので、非常に不愉快な思いを抱きます。それは営利事業であって、ディベート普及を目的にした活動とは言えないでしょう。

ディベート教育には高い付加価値がありますし、それを分かりやすく伝えるためには高い技量が求められますので、その教授法に対して相応の対価が求められることは当然のことだと思います。しかし、競技ディベートという営みそれ自体は、結果として議論能力を向上させることはあるものの、その経験自体が社会的に直ちに役立つというものではありません(職業的にディベートに近いことをやっている僕が言うのですから間違いありません)。競技ディベートは、いろいろな意味を付与しうるとは思うものの、どこまでいっても、競技、すなわち、「ゲーム」です。もし「ゲーム」から教育的要素を抽出して意義あるものとして売り出すというのであれば、ゲームでよい成績を取ったという売り文句ではなく、教授法や教育実績(ゲームのコーチではない)を誇るべきではないでしょうか。それこそ、大会成績より、JDA大会のジャッジ経験なんかを書くべきではないだろうかと思います。
いずれにせよ大会の存在をダシにコーチ料を取ろうとするのは、ディベート業界人としての感覚からは相当な違和感があります。少なくとも本当にディベートという競技を愛しているのであれば、JDA大会という、日本の競技ディベーターにとって特別な意味を持つ大会を、特に教育的意義を詰めることなく目標に掲げて、金を取るために援用するという発想は、ちょっと理解できません。

少なくとも、僕自身は、競技としてのディベートの楽しさについては、できるだけ低廉なコストでいろんな人が触れられるようにすべきだと信じています。その上で、ディベートから得られるエッセンスを効率よく伝えるスキルというのは尊重されるべきであり、それに習熟した人がディベート講師として活動することは結構なことだと思いますが、そういうスキルもないのに、選手としての活動の延長線上で、小遣い稼ぎ的にディベートを「指導」しているとすれば、ディベーターとして不誠実であろうと思います。

ただ、ディベート指導のフォローを受けられる環境が必ずしも整ってはいない状況があることも否定はできず、個人的にも力及ばず申し訳なく思っていたところではあるため、その点につき対処する必要もあろうという問題意識につきましても、改めてこの場で確認しておく必要があると思っております。今回このような記事をわざわざ書き起こした第二の、そしてヨリ重要な点は、この点にあります。
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