愚留米の入院日記
日当たり良好の某法科大学院既習病棟を退院した法務博士の日記。しかし内容はほとんど趣味のディベートの話
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第19回JDA秋季ディベート大会を終えて
少し間が空きましたが、去る11月12日、第19回JDA秋季ディベート大会に参戦してきました。結果は3勝ポイント足らずの第3位でした。決勝に行けなかったのは残念ですが、レベルの高い参加者の中でこのような成績を獲得できたのはうれしいことです。

今回私が組んでいただいたのは、ディベート甲子園で初出場3位と素晴らしい成績を収めた筑波大学附属駒場高等学校弁論部の3人組です。とある理由により久々にJDAに参戦しようと思い声をかけてみたら快諾いただいてチームを結成した次第で、あまりおっさんがでしゃばってもなと思っていながらも、やはり選手をやっていると血が騒ぎ、予定より多く口を出してしまったところは反省しています。ただ、皆さんもご存じのとおりディベートというのは1人では勝てない競技で、私が担当した1ARと2NC以外のパートは筑駒弁論部の皆さんが立派に果たしてくれました。私が担当パートの全試合でフルマークの点数を取っていれば、彼らをJDA決勝の舞台まで連れて行ってあげられたのですが、力及ばず残念でした。彼らであればいずれ自力でJDA決勝の舞台に上がることもできると思うので、その日を楽しみにしておくことにします。

今シーズンは某所からの弾薬を引き継いだ上でプレパしていたのですが、仕事をしながらリサーチや原稿作りを行うのは予想通り相当ヘビーで、社会人ディベーターとしてもコンスタントに実績を上げている方々には改めて頭の下がる思いでした。社会人ディベーターというとA氏が思い浮かぶところですが、近時は私の後輩にあたる方々が活躍しており、日本語ディベートシーンの最先端は彼らが担っているところです。私自身は最先端に立ったことがないわけですが、ディベートの指導も含めて、世代交代の感があります。特に今季JDA大会では、決勝戦でさらに下の世代のディベーターが素晴らしいスピーチをしており、非常に頼もしく感じました。練習試合や本試合でも、優れた大学生ディベーターがたくさん出てきており、今後が大変期待されるところです。

議論の感想も少し書いておくと、ディベート甲子園高校論題とほぼ同じ論題(プランの幅は広がっている)でしたが、議論の幅や深さは、当然ではあるもののJDA大会の方が水準が高くなっており、制度の根幹に根差した議論がある程度見られたのではないかと思っております。我々の議論で言うと、Affについてはいわゆる拒否型国民投票を念頭に置きつつ(筑駒メンバーのアイディアであり、DA対策の負担が減ることもあり採用)議論を尽くさず強行採決することに対する牽制・是正機構として国民投票を用意することで決定に正統性を付与するというケースを設けました。リサーチが至らずインパクトは煮詰まりきっていないのですが、何のために国民投票を導入するのかということはある程度具体的に提示できたのではないかと思います。Negについては、少数派の権利侵害につながりやすいというDAを主軸にしていたのですが、固有性の難しさに直面しつつシーズン中に議論を調整し、国民投票制度を導入することでこれを利用して勢力を伸ばそうとする政治団体による国民投票の濫用が起こるという方向性にシフトされていきました。マイノリティ攻撃がなぜ起こるのかというメカニズムをもっと深掘りするなどできた気はしますが、限られたシーズンの中ではそれなりの議論ができていたかなと思います。その完成度をより高めたのが、決勝のNegだったのかなと思います。
質の高い議論をしていく上では、リサーチの精度も重要であり、今季の上位チームは英語文献にも果敢にチャレンジして良質なエビデンスを取っていました。私も論文だけは集めていたものの読めていなかったので活用できていないのですが、今季論題では英語文献の実証研究を積み上げていくのが有効なアプローチだったと思いますので、これは反省点です。ただ、戦い方としては、証拠資料の質を上げるだけではなく、既存の資料をいかに組み合わせるか、どうやって相手の議論を上回っていることを説明していくかということも大事で、そのあたりの議論の出し方については、シーズン後半はそこそこスピーチできていた気もします。あとは、そのあたりをどうチーム全体の議論として展開していくかという意思疎通やブリーフづくりの問題になるわけで、あと何周か練習試合をしていればそこももっと煮詰まったかもしれません。

練習試合の話になったのでもう少し書いておくと、今季改めて重要だと思ったのは、練習試合後にジャッジや相手方を交えて突っ込んだ感想戦を行うことです。JDAでは試合後の判定協議の時間が短いこともあり、講評だけでなく、あり得る議論の展開についての議論や反省などをディスカッションします。ディベート甲子園では、どうしても勝ち負けが気になってしまうことや、今後の自分たちの議論がばれてしまうのを恐れてか(ほんとこれ意味ないですからね)、一方的に話を聞いて終わりになり、質問をするとしても試合後にジャッジに一方的に…ということになってしまいますが、時間のない大会では仕方ないとはいえ、練習試合では、もっと突っ込んだ感想戦をしてみてはと思います。
実際のところ、そういう感想戦をしっかり行う方が、楽しい上に、議論の向上も早まります。今季で言えば、私のチームでは、相手のコメントを受けて議論をいろいろと補充したりしていますし、自分たちが持っているほかの議論との関係でどういう展開があり得たか、構想として考えている議論について成立の見込みがありそうか、ということを問題提起して、議論構築の参考にしています。せっかくの練習試合を最大限に活用する上では、「その試合」だけではなく、そこから派生してどういうことができるのか、ということについても話し合う方がよいです。
今季は高校生とのチーム結成にチャレンジしたわけですが、そういうことをしようと思ったのも、彼らにそういうディベート文化に触れてほしいと思ったからです。現状のディベート甲子園もレベルは昔に比べてずっと高くなっていると思いますが、そこからさらに高みを目指すにあたっては、お互いに議論を高め合い、それを通じてもっと面白い議論をしていこうという雰囲気を作っていく必要があるのではないかなと考えていたりするので、今回のコラボ?がそのような動きの端緒になればと思っています。ツイッターとかで呟いてるくらいなら練習試合で疑問をぶつけろ、ということですね。

といったところで、議論の中身を詰めた感想でなく恐縮ですが、そんなことを思った次第です。次にまた大会に出る機会があるかどうかは分からないのですが(現実的には…)、今年のディベート甲子園やJDA大会のように、熱い選手と議論があれば、また暴れる機会もあるかもしれません。その時はどうぞよろしくお願いします。

さて、最後に告知です。今年の冬コミに有志が応募して枠をGetしたことから、同人誌を出すことになりました。これまで出していたところとは別のレーベル?で、よりディベートに純化したdope な同人誌が出来上がるはずです。
私の原稿はというと、純粋なディベート理論的な記事を書いてもよいのですが、それはブログで書いた方がよいだろうということで、ここで書けないテーマでやろうと思っております。気が付いたら人生の半分以上ディベートをやっていることになり、いろいろと香ばしいこともありましたので、ディベート経験のリアルな証言をまとめた原稿を書こうと思います。長編なので一部だけの掲載になると思いますが、頑張ることにします。なお、告知の煽り文を書こうと思ったところ、それすら掲載NGな気がしたので、内容は完成版を乞うご期待ということで。
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