愚留米の入院日記
日当たり良好の某法科大学院既習病棟を退院した法務博士の日記。しかし内容はほとんど趣味のディベートの話
ディベート甲子園ルール逐条解説(7.試合の進行方法(2))
久々のルール解説になってしまいました。入院生活も夏季休業に入ったのですが、試験対策やら何やらで暇だとは言っていられないような感じです。というわけでどこまで書いていけるかは分かりませんが、全国大会までにせめて証拠資料の扱いについては書き上げられればというところです。

今回は資料請求と反則のアピールについて書くことにします。前者については、試合でも良く見られる重要な部分であり、後で議論する証拠法の違反をチェックする手段としても大切な手続です。後者の反則アピールについては、選手が行う例はほとんどない(僕は高2の全国大会で修猷館がやってたのを見ただけです)のですが、一応は選手のなしうる手続だということで、簡単に触れておくことにします。

例によって、内容については保障できません&公式見解ではありませんので、この点はご了解ください。


4.3 資料の請求・開示[細則B-7~8項、細則D-5項、細則C-1項4号]

4.3.1 総説

ディベートでは、証拠資料による証明が勝敗を左右する。試合中の議論についてはスピーチ外で確認することができないというのが原則であるが、証拠資料については、その重要性と引用により提示されるという特殊性に鑑み、資料請求による確認が認められている。ルールにおいても、選手に対して相手チームの証拠資料を確認する機会を保障し、審判にも証拠資料の適法性を審査するための資料調べを認めている。

細則B
6.各チームは自分たちの準備時間中に,相手チームがそれまでに読み上げた証拠資料の提出を求めることができます。ただし,提出された資料は,その準備時間の終了までに返却しなければなりません。
7.審判あるいは相手チームから,それまでに読み上げた証拠資料の提出を求められたときには,証拠資料を提出しなくてはなりません。各チームは,請求に応じて請求された資料を提出できるように用意しておかなければなりません。

細則D
5.審判は,細則Bの4項(証拠資料引用の要件)または6項(証拠資料の不適切な引用)の判断を行うため,準備時間または判定協議の間に,その試合で引用された証拠資料の提出を求めることができます。


証拠資料の請求を認める趣旨は、選手の資料請求と審判の資料調べでは異なる。選手の資料請求では、相手方の議論を確認することで反論を準備することに役立てるために請求が認められており、いわば反論準備権の一環と見ることができる。一方、審判の資料調べでは法定の証拠要件を満たす引用が行われているかという引用の適法性を審査するために請求が認められており、ここでは議論の内容について審査することは認められていない。この点については以下でも述べるところであるが、証拠資料を請求する場合には、その目的として許される範囲を意識した上で行わなければならない。

以下では選手による証拠資料の請求(資料請求)と審判による証拠資料の請求(資料調べ)について、その趣旨と請求要件などを説明するが、証拠資料の使用に関する規律は第5章で説明することになろう。
なお、証拠資料の請求については別に「証拠資料についての総論的考察」で詳細に触れている(特に3.1.2 , 3.2及び4.1)ので、必要に応じて参考にされたい。

4.3.2 選手の資料請求権

4.3.2.1 資料請求の要件

選手による資料請求について、ルールでは「自分たちの準備時間中」にのみ請求を認めている。これは、資料請求が反論準備のための行為であることから、自分たちの議論を準備する時間にのみ資料請求を認める理由があること、また相手方の準備時間中には相手方が議論準備のために自分たちの証拠資料を用いる必要性が認められることから、この時間に資料請求を行うと相手方の準備を妨害することになるという配慮による。
従って、相手方の準備時間中に資料を請求する行為は認められず、請求された側はそのような請求に従う必要はない。このような行為があった場合、審判から請求者に注意をなすべきである。

選手が資料請求できるのは「相手チームがそれまでに読みあげた証拠資料」に限られる。資料請求は相手方の議論を確認するために行われることであるから当然である。よって、相手方が今後読もうとする資料について請求したり、その試合で読まれていない資料を請求する行為は認められない。一方、相手方がそれまでに読みあげた証拠資料であれば、直前のスピーチで読まれたものに限らず、立論段階で読まれた資料についても請求が許されることはいうまでもない。

資料請求の要件として法定されているのは以上の通りであるが、請求に伴う当然の要求として、提示対象の特定が挙げられる。すなわち、請求者は閲覧したい資料を適切に指示し、提示すべき資料を特定しなければならない。この特定が不十分である場合、審判は必要に応じて求釈明し、請求者の意図を明らかにするよう努めることが望ましい。
提示対象の特定は概括的なものでも足り、例えば「第一反駁で読んだ全ての資料」や「これまで読んだ全ての資料」という形でも許される。請求者にはそれまで読みあげられた証拠資料全てについて閲覧の権限があるから、当然である。ただし、このような請求をすることによって資料の提示が遅れるという不利益も甘受する必要があるから、通常は確認したい資料のみを出典や要証事実たる論点の摘示によって指示することになるだろう。

また、資料請求は反論の準備として相手の議論を確認するために認められた手段であり、相手方の読んだ資料の出典を確認してその資料を収集するという目的で行われる請求は当然に無効というべきである。このような動機を判断することは難しいが、明らかに不必要な資料請求がなされていると認められる特段の事情があれば、資料請求の目的を欠く請求ということでこれを認めないという処置もありうる。

4.3.2.2 資料請求の効果

資料の請求により、被請求者は速やかに請求された資料を提示しなければならない。その時間については定められていないが、ルールが準備時間中にのみ資料の閲覧を認めていることから、相手方に十分機会を与えられるよう、早く行わなければならない。
この関係で、被請求者が請求された資料を発見できず、資料集の全部を渡すことの是非が問題となりうる。このような場合、一応証拠資料を提示したことになるが、請求者の側で目的とする証拠を発見しなければならず、結果として必要な資料を速やかに閲覧できないこととなる。よって、この場合は請求者の特定した請求対象を速やかに提示できていないということで、細則B-7項後段の趣旨に反する不適法な資料提出に当たると評価される。

資料の提示が著しく遅れた場合、これは請求者の反論準備権を侵害する行為であるから、悪質な場合は細則C-1項4号の反則に問われることとなる。
被請求者の提示が遅れたために十分に資料を閲覧できなかったという場合は、準備時間が削られたと見ることができるため、細則B-6項の規定にもかかわらず、スピーチ中にも資料を留め置くことが許されると解する余地もあろう。この場合、同項の「準備時間の終了」を、実質的に資料を閲覧する機会が保障された時点と解することになる。

資料請求をなした側は、資料が提示された場合にこれを自チームの準備場所に持ち帰り、検討を加えることができる。ただし、資料請求は出典を確認するための場でないから、資料の出典を書き写すなどの行為は認めるべきではない。このような行為が見られた場合、審判はこれを中止させるべきである。
これに関連して、被請求者が提示する資料に出典を記載しなければならないかが問題となる。相手方に出典を記録する権利がないことから、出典については省いてもよいという見解もありうるところだが、資料の出典は独立に評価の対象となりうること、ルールが細則B-2項において資料集への出典の明記を義務づけていることから、出典についても併せ提示する義務があると解すべきである。

資料請求の効果として資料集の原稿の提示が認められるのか(資料集提示説)、それとも資料の原典について提示が認められるのか(原典提示説)という議論がある。
これについては、審判の資料調べでも議論があるが、選手に対しては資料集の原稿の提示で足りるということで争いはないであろう。前述の通り、選手の資料請求は議論の確認のために認められるものであり、不正な引用の確認など原典に当たる必要のある目的のために資料請求が認められているというものではない(もちろん、資料請求によって不正な引用があったかどうかを確認することが禁じられているというものではない)。原典の提示を常に求めることは実務上極めて困難であり、被請求者に過度の負担をかけるとともに、資料の提示を遅らせることで法の趣旨にも反することになる。また、一般にディベートでは資料集を読み上げる慣行があるところ、ルールは原典を提示すべきと明文で規定しておらず、資料集による提示を許容しているものと解される。
従って、請求者が資料の原典を提示するよう要求した場合でも、被請求者はこれを拒否して資料集などの書面によって代えることができる。もちろん、原典による資料提示を任意で行うことは許される。

4.3.3 審判の資料調べ

4.3.3.1 資料調べの要件

審判の資料調べは、引用の要件が十分満たされていないと認められる場合や、不正な引用が行われている疑いのある場合に行うことが予定されている。従って、このような動機がない場合にいたずらに資料調べを行うことは認められない。審判が資料調べを行うということは、その資料の内容につきスピーチ外で確認をすることを意味するため、スピーチ中の内容によって判定を決するという弁論主義に反する行為である。これは、口頭でのコミュニケーションを重視するルールの趣旨からも、特別の配慮を必要とする。

細則B
9.本大会では,図や表の掲示は認められません。なぜなら,本大会は口頭でのコミュニケーションを重視しているからです。


よって、資料の中身を聞き取れなかったり、判定を出すために資料の中身を比較検討したいという理由で資料調べを行うことは認められない。試合の判定に大きく影響するような資料については、例外的に資料調べによる詳細な検討を認めるべきであるとの主張もある(蟹池陽一「Close-up さらに「ジャッジすること」に関して」ディベートフォーラム9巻4号(1994)276pなど)が、資料調べの理由を限定している細則C-5項や、上記の細則B-9項の趣旨からすれば、このような例外を認めるべきではない。口頭でのコミュニケーションの結果、資料調べによって検討しない限り優劣がつかないような場合は、証明責任の分配に従って判定を下すべきであろう。
これは、ディベート甲子園以外のルールに従っても同様であると思われる。資料調べによることが、議論の実質に即してより妥当な判断を下すことにつながるという見解にも説得力があるが、ディベートは限られたスピーチ時間の内容のみで勝敗を決するのであって、その結果判明しなかった事柄については、結局のところ証明責任を果たせなかったということで棄却されるほかないからである。また、資料調べによる補充的心証の形成が認められると、審判が試合中に集中して資料の内容を精査しなくなったり、補充的心証形成に期待して選手が証拠資料を早口で読み上げるということになるおそれがあり、口頭主義が形骸化する恐れがある。
*資料調べにつき一部例外を認めていた筆者の見解を一部改める。

審判の資料調べは、判定協議の時間のほか、両チームの準備時間であれば常に行うことができる。資料の提示がそのチームの反論準備を妨げることから、選手が資料請求できる場面(被請求者の準備時間でないとき)にのみ請求できるという解釈もありうるが、細則C-5項は単に「準備時間」としか規定しておらず、そのように限定的に解釈する必要はない。審判の証拠調べは証拠資料の不正引用を確かめたり、引用の要件が具備されているかを確認するために行われるものであり、試合の公正を保つための処置であるから、選手の準備に優先すると考えてよい。
ただし、審判が資料調べを行うことは、それ自体が特定の証拠資料について審判の疑義を表明するものとして試合に影響を与える可能性があるから、試合終了後に資料調べをすれば足りるという場合は、試合中の資料調べを自制することが求められる。試合中に資料調べをすべき場面としては、特定不十分であり、資料として扱われる範囲があいまいな場合や、重大な違法の疑いがあり、証拠排除されることが明白な場合にそれを告知することが相手方の保護に資するという場合が挙げられよう。

4.3.3.2 引用要件確認のための資料調べ

審判が資料調べをすべき場面としては、引用要件の確認と違法な引用の調査の2つが挙げられるところ、引用要件の確認について資料調べを行う場合には、その是非について問題がありうる。
すなわち、引用要件の確認は主に引用範囲の特定(どこからどこまでが証拠資料の内容であるか。細則B-3参照)が不十分な際にその範囲を特定するために行われるところ、このような行為は元々引用範囲不明確で無効な引用となるべき資料について審判の職権で引用範囲を特定して有効とするものであり、相手方にとって不利益を生ぜしめる可能性がある。

確かに、明らかに引用範囲が特定されておらずおよそ資料が引用されたとはいえないような場合にまで資料調べをして引用を有効にしようとする行為は、過度の救済として不公正な試合指揮にあたると評価しうる。しかし、引用範囲の特定は常に相手方にとって不利益となるものではなく、引用範囲が不明確な際にその範囲を特定することは、相手方の反論対象を明らかにするとともに、証拠資料の内容でない部分を区別することで証拠の価値を減じることにもつながる。
また、証拠資料の評価は審判の自由心証に委ねられているところ、審判は引用範囲が不特定な場合に自由心証で適切と思われる引用範囲を認定することができるのであるから、資料調べを行わない場合でも引用範囲が特定されていない資料が有効となることもありうる。そうであれば、審判が資料調べによって引用範囲を確認した上でその結果を相手方に告知する方が、相手方の保護にもなって望ましい。
従って、資料が引用されたことが明らかである一方、その範囲が不明確であるという場合には、審判は試合中にこれを確認し、相手方に証拠資料として評価しうる範囲を伝えることができると考えるべきである。

関連して、引用要件の瑕疵(主として、引用範囲の特定不十分)がある場合に、それを試合中に指摘すべき義務が審判に認められるかどうかが問題となる。先に述べたとおり、引用範囲の特定は相手方の反論対象を明らかにするものであるから、審判が引用要件に瑕疵があると判断した場合、その評価を相手方に知らせることで反論対象を明らかにする義務があると考える余地がある。
これについては、義務を認めることまではできないと考えられる。引用範囲の判断も含めて証拠の評価は審判の自由心証であること、特に立論で引用された資料については選手の質疑によって確認ができるし、それ以外の場合でも選手の資料請求によって引用範囲を明らかにした上でスピーチ内で主張することができることから、この義務を認める必要はないからである。もっとも、選手が引用要件の瑕疵について職権による資料調べを促した際にこれを否定した後で、判定協議中の資料調べを要求した場合などは、違法とはいえないまでも職権行使の妥当性が疑われよう。

4.3.3.3 資料調べの手続

資料調べは、審判の職権においてなされる。審判は必要に応じてチームに資料の提示を求めることができ、請求された側はこれに従わなければならない。
ここで、選手の資料請求と審判の資料調べが競合した場合にいずれを優先するかが問題となるが、審判の資料調べが試合の公正を保つためのものであることを考えると、審判の資料調べが優先することになろう。もっとも、選手の反論準備権も尊重に値するものであるから、審判としては資料調べの必要性を考慮した上で、資料調べの緊急性が大きくないときには選手の資料請求を優先させるよう取り計らうことが望ましい。

資料調べの請求がなされると、請求された側はその資料を審判に渡さなければならない。このとき、審判が資料の原典提示を求めることができるかが問題となるが、選手が原典を持っているときは別として、そうでない場合に原典を提示できないことによって有効な資料提示がないということはできないであろう。その意味で、審判の資料調べについても資料集提示説(4.3.2.2参照)が妥当する。
審判が原典を確認することは、資料の適法性を確認する上で有効である一方、被引用部分以外の証拠の内容を見ることによって心証が汚染されるおそれもあり、一概に望ましいこととは言えない。また、原典の提示を義務づけることが実務上困難であることも選手による資料請求と同様であるから、資料集の提示で足りるとしてよい。

ここで、審判の資料調べについては、選手の資料請求にある返却時期の規定(細則B-6項但書参照)がないことから、提出させた資料についていつまで留め置くことができるかが問題となる。細則C-5項は「準備時間または判定協議の間」に「提出を求めること」ができるとするだけであり、資料の留め置きをその期間に限っているわけではなく、決め手とならない。
この点について、試合内で準備時間中に提出させた資料については、細則B-6項但書を準用し、準備時間が終わった後で返却すべきであると考えてよいであろう。準備時間終了後のスピーチ時間に資料を参照することはできないし、資料調べが十分でない場合は引き続き次の準備時間又は試合終了後に請求すれば足りる。
一方、試合終了後の判定協議時間における資料調べについては、協議中に資料を無制限で留め置くことができるという解釈が妥当でない場面が考えられる。前述の通り(4.3.3.1)、資料調べは不正な引用の有無や特定の有無を確認するための手段であり、議論の内容を吟味するためのものでないから、判定協議の場において資料を留め置く行為は、実質的に書面による審理をさせる(あるいは客観的にそれを疑わせる)ことで弁論主義の精神に反するものであると評価しうる。よって、判定協議時間の資料調べについては、必要があった場合にのみ行われることは当然として、資料調べの行われている間は証拠資料の要件や引用の違法性についての判断など、資料調べに関連する部分の審理のみを行い、その審理が終了した後は速やかに資料を返却することが求められる。

以上のような審判の資料調べは職権によるものであり、選手から資料調べの実施を請求することはできない。一方で、選手は審判に対して、任意で資料調べを行うよう職権発動の申立てをすることができる(任意でなされる行為であるから明文の根拠は不要である)。
この場合、審判は申立てに理由があると考えれば資料調べを行うことができるが、その必要がないと考えれば資料調べを行う必要はない。また、職権発動は審判の専権であって選手に請求権があるものではないから、申立てを却下した理由を述べる義務もない(もちろん、理由の説明をすることが望ましいことはいうまでもない)。
なお、選手が自分たちのスピーチ中に読まれた資料について、証拠資料の範囲確定を求める申立てを行うことは許されないと解すべきである。不適切な引用を有効にするためには、適切な引用として再度証拠資料を引用する必要があるところ、そのような手続きを経ずに証拠資料の引用範囲確定を求めることは、審判の資料調べを介して新規に証明力を発生させることであり、新出議論禁止の趣旨を潜脱するものである。よって、審判は、このような申立てについては却下しなければならない。もっとも、審判の判断によって当該資料につき資料調べをして引用範囲を確定させることについては自由であるし、以上の説明は自分たちの資料の適法性を調べるよう申し立てる場合には当てはまらない(自らの潔白を主張することは正当な主張である)。

4.4 反則責問権[細則C-1項]

4.4.1 反則責問の手続

細則C-1項は、審判の判断できる反則事由を列挙した後に、反則についてのアピールができることを規定している。

細則C
1.以上の反則行為があったと考えられる場合,選手は,試合中あるいは肯定側第2反駁直後に審判にアピールを行うことができます。アピールは司会者の許可を得て行います。
*前半は省略


これは、審判に対して反則と疑われる行為の存在を指摘し、その審理を請求する権利(反則責問権)を選手に認めたものである。
ルールにあるとおり、反則責問権の行使は試合中(自分たちのスピーチあるいはいずれかのチームの準備時間のこと。相手のスピーチを妨害することができないことはいうまでもない)と肯定側第二反駁直後、すなわち試合終了直後に認められる。これは、反則責問権の行使を判定協議までの間に限り、判定が出た後に反則責問権を行使して判定を蒸し返そうとする行為を封じるための規定である。この趣旨からすれば、試合終了後、判定協議中に反則行為の存在が明らかになった場合は、協議中にアピールをすることも例外的に許される。なお、反則処分の効果(第8章参照)との関係で、判定言渡し後の反則責問権行使は認められない。

反則責問権を行使する際は、司会者の許可を得た上で、審判に対して申立てを行うことになる。その際には、細則C-1項所定の反則事由のうちいずれに該当する行為であるか、またそのような行為がどのように行われたかという具体的な説明をする必要がある。なお、明らかに理由がないと見られる申立てについて、これを悪意で行った場合は、そのような反則責問権の行使自体が細則C-1項8号の「著しくマナーに反する行為」として反則になる可能性がある。

反則責問権が行使できる対象については細則C-1項所定の反則事由に限られるが、細則C-2項の反則事由についても、反則責問権の行使を認めるべきと思われるものがある。特に同項2号・3号に規定された外部通信の反則については、試合中に明らかになることが多く、選手による反則責問権の行使を否定する理由はない(実際にも、外部通信は観客席側と行うことが多いと考えられるところ、観客に背を向けた審判がこれを発見することは困難であり、選手により発見されることの方が多いだろう)。
ルールが細則C-1項の反則事由に限って反則責問権の行使を認めているのは、審判が判断できる反則事由が同項所定のものに限られているからである。現行のルールにおいてはC-2項に規定された反則事由について審判の処分権限が認められない以上、そのような事由について審判の判断を請求する権利を認めても意味がないため、この部分に反則責問権が認められないというのはやむを得ないことである。問題は細則C-2項2号・3号の反則事由について審判の処分権限が認められていないことにあり、立法論としてはこれらの事由を細則C-1項の反則事由に含めるということが考えられる。

4.4.2 反則責問の効果

反則責問権が行使された場合、審判には、アピールされた反則事由について審理し、判定においてその有無を説明する義務が生じる。これは、反則責問権が法定された選手の権利である以上、当然に生じるものである。もっとも、この審理結果についてさらに異議申立てをする権利は認められていない。

反則責問権の行使に明らかに理由がないと認められる場合、審判は申立ての直後にこれを却下することができる。この場合も、そのような申立てに理由がないことにつき説明を行う義務がある。
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