愚留米の入院日記
日当たり良好の某法科大学院既習病棟を退院した法務博士の日記。しかし内容はほとんど趣味のディベートの話
2007年JDA秋季大会参戦記(7:JDA決勝Ⅲ[2ACとQ/A])
今日は決勝の2ACを振り返ります。来週に中間テストやレポートが重なっていて精神的にトランスクライブする気分になれないため、次の回までしばらく間が空きそうですが、途中まで書いている以上2ARまで終わらせることは間違いない…はずです。

(注意)
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○ 2AC
2ACは最強のディベートジャンキー、安藤さんの担当です。スピーチだけでは分かりませんが、議論内容に比しての準備時間の消費量の少なさ、無駄のない話し方にはいつも驚かされます。ディベートに挑む姿勢の真剣さは、入院生活を抜けて大会に出ている僕ですらネタかと思ってしまう(!)ほどです。

そんな安藤さんの怒涛の2ACは以下の通りです。

デメリットの一点目、犯罪抑止について。
彼らはまず一点目に威嚇力があるということを言いました。
一点目。これに関しては全く具体性がありません。どのくらいの犯罪が抑止されているのかということがこの点からは全く分かりません。
二点目。いかなる…いかなる犯罪者も犯行に当たって死刑のことは考えません。CQリサーチャー死刑論争2005年。
「しかしながら、バークとフェイガンはどちらも「潜在的殺人者は犯罪を犯す前に、実際の死刑執行率を知っているとは考え難い」とし、バークは、「犯罪者がどんなに計算高いとしても、その情報は得られないだろう」と述べた。」引用終了。(CQリサーチャー「死刑論争」2005年9月23日 P796 
http://faculty.washington.edu/bdjones/policyclass/
Death%20Penalty%20Controversies.pdf)
三点目。か…と…三点目として、彼らは統計の資料を用いていますけれども、統計では因果関係というのは分かりません。実際死刑が抑止効果をもたらしているのかどうか分かりません。石川正興早稲田大学法学部教授2001年の証拠資料。
「統計比較による「一般抑止」効果研究にとってより根本的な批判は、「統計によって、一定の条件のもとにおいて、一定の事実が発生した、ということは証明できるが、その条件がなかったならば、どうなっていたであろうかを、このことから直ちに結論することはできない。とくに、犯罪の増加は、複雑な社会的原因・個人的原因の複合によって決定されるのであって、刑罰の種類・軽重によって、直接に影響を受けることは、必ずしも大きくはない。」というものである。」引用終了。(2001年5月「死刑の犯罪抑止効果」『現代刑事法』早稲田大学法学部教授・石川正興 P30)

続いての議論。統計的に考えても抑止効果はありません。CQリサーチャー2005年。
「カリフォルニア大学ロサンゼルス校の統計学およびび社会学の教授であるリチャード・バークと、ニューヨーク市コロンビア大学の法学および環境衛生学教授のジェフリー・フェイガンの二人は、抑止力を主張する第一人者の研究者である。新しいデータの分析において、バークは抑止効果はただ一州――テキサス州――のみでしか存在しない、と述べている。そして、その抑止効果も大きなものではない。「もしテキサス州をデータから外すならば、抑止効果はまったくない」と彼は述べている。」引用終了。(CQリサーチャー「死刑論争」2005年9月23日P796 
http://faculty.washington.edu/bdjones/policyclass/
Death%20Penalty%20Controversies.pdf)
そしてテキサス州が引用されていますけども、これテキサス州はどういうところかというと、えー、ここで死刑がどのくらい行われたかというと、えー…と、76年から95年の20年間で348件です。えー、テキサス州の人口は2200万人なので、日本に換算すると、約2513件もの死刑を執行しなければ抑止力は得られないということを言っています。従って全く非現実的な数字なので取るべきではありません。

三点目に、彼らはUSフロントラインの資料は新しいということを言っていますけれども、この中の、分析を見ると、2001年であるとか2003年ですから私たちのCQリサーチャー2005年の証拠資料でも十分カバーできています。
その次。無期懲役のほうがより犯罪抑止効果はあります。千葉大学教授斉藤1999年。
「殺人犯に対する威嚇力は、死刑よりも無期自由刑の方がはるかに大きいものであるとし、ベッカリーアは、「人間の精神に最も大きな効果を与えるのは、刑罰の内包(強さ)でなくして、その外延(長さ)である。人の心に深刻な印象をあたえるには強烈な一時的な印象によるよりも、持続的な印象による方が一層容易であり効果的である。ところが死刑の与える印象は強烈であるが一時的である。したがってその効果も永続性を持たない。……」と死刑の威嚇力を批判する。」引用終了します。(1999年『新版死刑再考論』千葉大学教授・斎藤静敬 P241)

続いて組織犯罪の話が出てきました。まず、彼らはヤクザのことをいっていますけれども、ヤクザにとって死刑は抑止力になりません。
慶応大学宮澤浩一1977年。
「ヤクザ者の典型といわれる博徒が、しきたりを守り、その行動に、彼等なりの倫理性が示されることがあるのも、一つの独自の価値体系、副次文化に立脚する行動規範への信奉が、一つの秩序を形成しているからにほかならない。[中略]これらの社会的な病理集団の構成員に、刑罰が、そして死刑が抑制力として働くであろうか。彼等は、まさに、別の考え方の者達なのである。」引用終了。(1977年『刑事政策の源流と潮流』慶應大学教授・宮澤浩一 P55-56)
このように別の考え方のものたちにこういった死刑の抑止力が通用するということは全く証明できていません。

デメリット2に行ってください。えーと、再犯が起こると、言っていました。
まず一点目。何件の再犯が起こるのかということを全く示されていません。
二点目。これは現状のことを言っているだけです。
三点目。現状の無期懲役は終身刑化の傾向にあります。えー…龍谷大学石塚氏の2004年の証拠資料です。
「最近「無期懲役の終身刑化」の傾向が見られる。1998年、検察庁は、特に犯情悪質であると指定したいわゆる「丸特無期事件」については仮出獄を認めない方針を示した。」引用終了。(2004年「終身刑導入と刑罰政策の変容 終身刑は死刑の代替刑となりうるか」『現代思想』32巻3号 龍谷大学大学院法務研究科教授・石塚伸一 P173)
このように、現状では、えーと、終身刑の…あ、無期刑の終身刑化が進んでいてなかなか出るこ…とができないので再犯の確率も非常に低いと思われます。
四点目。私たちの戦争のインパクト、このインパクトのほうが再犯のインパクトよりもよほど大きいです。

ケースへ行きます。生命権が、無制限じゃないということを言っていました。
まず一点目。なぜ、無制限じゃないからといって殺さなければいけないのか、このことの正当化が全くありません。
二点目。私たちの、えー、Aの一番目の証拠資料、これを伸ばしてください。条約に基づいて私たちは行動を起こそうと言っているわけです。ですから、憲法には条約遵守義務がありますから、私たちはそのことをやるべきです。ネットベネフィットにかかわらず死刑を廃止するべきだというのが私たちの議論です。
三点目。私たちの三点目の証拠資料を伸ばしてください。再生可能性が必要です。再生可能性があることによってのみ私たちは人間の尊厳を保つことができます。
四点目。私たちのプラン…は、無期囚…無期懲役は死刑の不安感を解消することができます。確定死刑囚大道寺将治2001年。
「死刑囚は、たんに長期間拘束されたからではなく、死刑囚として、いつ処刑されるかわからないという状況に置かれたがゆえに、精神的に病んでしまうのです。いつ処刑にされるかわからないという思いを抱かずに済むのであれば、長期間拘束されても、精神病を病む人は少なくなるはずです。たとえ生涯、塀の外に出ることができなくともです。塀の中の生活もまた人生です。シャバとはかけ離れた厳しい生活の中にも、喜びや生きがいを見つけだすことは可能です。」引用終了します。(2000年「死刑に代替する終身刑について」『法律時報』明治大学教授・菊田幸一 P65 *論文中で大道寺の述べた内容の要旨として紹介されている)

えー…次の議論として、拷問が正当化されないのと同様、死刑も正当化されません。藤田真理子氏2007年の証拠資料です。
「だが、その同じ講演者[編注:スピーチ中ではここで「ピエール・トゥルニエという弁護士」と補足しているが、原文にはない]が、「死刑は効果的かどうかという議論は拒否すべきである」と言い、「拷問は効果的かどうかという議論をするだろうか?」と問いかけた時、「死刑は野蛮だ」とか、「無条件で廃止するべきだ」という議論がはじめて胸に落ちたのである。[中略]死刑廃止を主張するのに、じつは、理由はいらないのだった。」引用終了。(2007年「何人たりとも決して死刑にはならない 第三回死刑廃止世界大会に参加して」『インパクション』156号 英仏翻訳家・藤田真利子 P60-61)
このように、理由がなかったとしても、死刑を廃止するべきだということがいえます。

次に、尊厳を重視するなら死刑は必要だということを[編注:否定側が]言いました。
まず一点目。これは現状回復することが必要だと言っていますが、死刑を存置したからといって現状が回復できるわけではありません。
二点目。そのことのために死刑が必要かどうかということを正当する議論ではありません。

続いて、えー…残虐化の議論。
まず、一点目。彼らの議論はアメリカの議論です。日本には当てはまりません。
二点目。殺人するのが遅れるだけといっても一生やらなくて済む人が出るかもしれません。
三点目。えー、これは無期懲役や無期…無罪判決については、えーと、えー…恐慌化効果のほうが上回ります。[えーと…これは何だっけ、坂元? 何年?…]坂元2003年の証拠資料。
「これまで、死刑が凶悪犯罪の発生に及ぼす影響には、死刑が犯罪を減らすとする抑止説と、逆にそれを促すとする脱感作説ないし残忍化説があったが、本研究の結果は、後者をより支持するものである。米国の研究では近年、抑止説を支持する傾向が強まっているように見えるが、本研究の結果との違いは、日米間における犯罪の発生状況の違いから説明できると考えている。」引用終了。(「死刑報道は、凶悪犯罪の発生を抑止するか」お茶の水女子大学教授(メディア心理学)・坂元章
http://www.u-gakugei.ac.jp/~ktakagi/JSLP/
l&PkenData/L&Pken7PDF.pdf)

次に彼らは罪の重さを知り抑止力になるといいましたが、これは無期でダメだという証明が全くありませんから、無効だと思います。


ほとんどの論点に的確に反論している点はさすがです。後で紹介する僕の2NCと比べると、その網羅性とスピーチの構成に驚かされます。いや、僕のしょぼさに驚くということなのかもしれませんが。

犯罪増加のDAについては、これでもかという反論がされ、かなり厳しい状態になりました。特に統計の資料はフルボッコにされてしまい、フロントラインの資料を伸ばして補強を入れてもここで勝つのは厳しそうに思われました。というわけでどう戦うか…と悩んでいたわけですが、実際にどう対処したかは2NCの回に書くことにします。

再犯DAについては、再犯が少ないというエビデンスを読まれなかったのが意外でした。その代わりに無期刑が終身刑化しているという議論を出したのはこれまた意外で、かつAffの戦略からすると一貫していないように思われました。というのも、Affは無期刑における囚人の再生可能性をよりどころにしているところ、終身刑にしてしまうと再生可能性を無視して永久に閉じ込めることになるし、終身の拘禁はより残虐だという典型反論が山のようにあるからです。
そのことを配慮してか、ケースサイドで大道寺確定死刑囚のエビデンスを読んでいますし、どうせ「無期刑なので釈放の可能性は残っていて、『事実上』終身刑化しているにすぎないから、終身刑とは違う」と逃げるのでしょうが、これはあまり潔くなかったし、再犯を返す議論としてもあまり適切ではなかったんじゃないかと。とかいってそこを十分生かした反論ができていたかというと、試合結果が物語るとおり…なわけですが。

ケースサイドの反論はケースを伸ばしながらの議論になっていますが、戦争リスクの話を除いて全体をカバーされています。
結局は最後にあまり伸ばされていませんでしたが、藤田さんのエビデンス(拷問と同様に死刑は正当化されない)は結構よい議論だと感じていて、人権論(再生可能性など)がある程度立ってしまうと、DAがいくら立ってもこのエビデンスを伸ばされて負けるリスクがある…と思っていました。自分たちがAffでも使おうと思っていた議論です。ケースを伸ばしながら必要な議論を補充し、構築していくという手堅いスピーチで、これは見習うべきものです。

残虐化の議論に対する返しで読まれた坂元のエビデンスは、1ACで読んだエビデンスの続きなのですが、実際には自分でやった新聞の統計調査から解釈しただけで、「日米の犯罪発生状況の違い」とかいう部分は筆者の推測にすぎないものです。ただ、後々でそれを指摘することができず、結果的に負けに響いてしまったということになっています。
この議論も、「日本とアメリカの違い」という話にもって行く布石だったわけで、今から見ると戦略的な議論でした。

○ 2ACへの質疑
続いては弟が担当した質疑です。スクリプトからも感じられると思いますが、応答に弟がびびっていましたのが、聞きなおしてみてちょっとかわいそうでした。基本的には質疑前に準備時間をとらないので、いきなり質問をしていかなければならないのですが、それで聞きたいことを上手く聞くのは難しいものです。質疑の準備をする時間もなかなか取れませんし。
というわけで、以下、2ACへの質疑とその応答です。

N:じゃあ、始めたいと思います。
A:はい。
N:じゃあまず何かデメリットについてまあいろいろ言われてたんで見ていきたいと思いますけど…何だったっけ、CQリサーチ…、あっ、USフロントラインに対する反駁が何かあったと思うんですけど。
A:はい。
N:これテキサス州…このデータ、CQリサーチャーのデータっていうのは、我々のじゃあこのフロントラインのやつをカバーしていると言ってますか。
A:と思います。
N:思う。それはなぜですか?
A:えーとバークとフェイガンの研究というのも、えー、これ21世紀に入ってからの研究なので、問題ないと思います。USフロントラインというのも、2001年では…
N:え、でも同じってことは言えてないですよね。それは推測ですよね。少なくとも。少なくとも…
A:一年新しいだけで、そんなに大幅に…
N:どの研究を対象にしているかっていう話なんですけど…まあいいです。じゃあ分かりました。では次にですね、じゃあそのテキサスで、348件殺したら、抑止力があるってことになる…
A:まあ日本換算だと2000件以上ですね。
N:ああなるほど。そして、残忍化のところとの兼ね合いで見てほしいんですけど、残忍化って要は執行をいっぱいすると、それだけひどい効果が現れるんですよね。
A:違います。
N:何でなんですか。
A:残忍化というのは、死刑というものが存在することそれ自体が、人々に対して…
N:え、違いますよね…
A:もし、何か例外的なことがあったら殺してもいいんだと、そういうたがを外してしまう効果があるので、残忍化が起こるということを私たちは主張しています。
N:じゃあちょっと聞きたいんですけど、何か、日本の例とかも挙げられてたと思うんですけど、要は執行の報道があったと増えたとかあるんですけど、要は執行あればあるほど増えるんじゃないですか。
A:たとえあのー、執行がなかったとしても…
N:それどこで言ってるんですか。
A:死刑が存在すれば…えーとそれは、一番最初のこの鈴木の…あ、鈴木じゃないわ、すいません。えーとこれはですね…[鈴木? 鈴木?]あ、鈴木の証拠資料ですね。
N:あ、どんな内容ですか?
A:えーとですね……[(聞き取り不能)…ごめんね]
N:あー、じゃあもう、いいです。じゃあ何か次に行きたいんですけど、じゃあベッカリーアさんの話、あ…斎藤さんのやつですね、長さの方が大事だってはなしですよね、抑止力があるってはなし。これは何ですか、ベッカリーアさんってそもそもいつの時代の人なんですか、
A:ベッカリーアはえー、17世紀のイタリアの…[文学者だっけ?]あ、法哲学者。
N:じゃあその人が何か言ってるだけ…言ってると。
A:じゃあ、これが、あの17世紀からずっと言われてきているわけでしょ…
N:はい。じゃあ再犯のところに行きたいんですけど、何か、終身刑化してるってはなしされてましたよね。
A:はい。
N:でこの人っていうのは、じゃあ出れないわけですよね。
A:あのー…出れない、実際出られないのと出る希望がある、出るなというのは全く違います。
N:でも、出れないっていう、まあ出る、そういう立場を取りうる、取ろうとしてるって話をしてますよね。
A:あのですねー…あのー、可能性がゼロだとは一言も言ってないんですよ。
N:え、じゃあどうやって評価するんですか。じゃあこいつは終身刑にしようとか、こいつはじゃあ無期懲役にしようとか。
A:いや終身刑はないので無期懲役しかない…
N:いや、でも、ほとんど終身刑化してるんですよね…
A:仮出獄を、えー、許すかどうかというそれだけのことです。その、基準が厳しくなっているっていうことを言って…
N:厳しくなっているだけと。でも何か丸特…何か終身刑にするって言ってますよね。
A:終身刑にするとは言ってない…
N:言ってないですか……じゃあもう時間がない…じゃあ最後に、何か残忍化のところで、アメリカの事例だから我々の反駁は当たっていないと言っているんですけど…
A:はい[時間切れ]。
N:あ、はい。


後の反論との絡みで重要度の高いやり取りは、残忍化の理由を聞く部分と、終身刑化しているという点です。

残忍化の理由については、応答では死刑の存在自体による効果を言っていますが、実際には執行による効果もあるわけで、このあたりは応答だから仕方ないとはいえ、エビデンスでも示していない以上、ちょっとフェアじゃないかなぁとも思えます。ここでもっと突っ込んでもよかったのかもしれません。
この質疑をした意図は、Affのいうテキサスの例を引っ張って、「執行によって残虐化するというなら、執行しまくっているテキサスで犯罪が減ってるのはおかしいじゃないか」という反論にするというところにありました。前日の練習試合で弟がいきなりこの反論を出し、それはそうだなぁと僕も納得してしまったのですが、それを前日に聞いているからか、警戒して上のように答えたのでしょう。
ただ、結局僕たちは決勝でこの反論を出さなかったのですが、というのも「知ってるのに同じテキサスのエビデンス読んでくるってことは、対策されてるに違いない」という弟の読みがあったからです。事実これは正しくて、以下のようなエビデンスが存在していました。

2005年9月23日 CQリサーチャー「死刑論争」 P796
(http://faculty.washington.edu/bdjones/
policyclass/Death%20Penalty%20Controversies.pdf)
「しかしながら、シェパードの最新の研究は、州によって、死刑執行の効果は異なることを示している。彼女は「抑止効果は、相対的に執行の多い6州でしかみとめられず、そのほかの州では死刑執行による抑止効果がないばかりか、いくつかの州においては、いわゆる「凶暴化」効果が現れ、死刑執行がかえって殺人率を増加させていることがわかった。」と述べている。追加的な研究を求める一方で、シェパードは「抑止効果が凶暴化効果を上回るためには、一定以上の死刑執行を行う必要がある。」ことを示した。」


これは安藤さんのチームが打ち込んでいた資料なので当然所持しているわけで、昨日はいきなりのことで読めなかったのでしょうが、決勝では当然用意しているはずで、テキサスの例を読んだらこれできれいにカウンターを決められていた…ということでしょう。
だったら、質疑で「執行も存在も両方残忍化効果がある」と答えていてもよかったとは思うのですが。

終身刑化のところは、予想通り「終身刑そのものではない」という応答をしていましたが、ここはもう少し突っ込んで、ではどういう意味で読んでいるのか、丸特無期になるかどうかはどうやって決めているのか…ということを確認できればよかったのでしょう。


これを踏まえての2NCは、次回に書きます。冒頭にお断りしたとおり、しばらく時間が空くと思います。
コメント
この記事へのコメント
蔓延し続ける誤解
http://www.geocities.jp/y_20_06/index.html
(無期懲役刑に関する誤解の蔓延を防止するためのホームページ)

よろしければ上記ページをご覧ください。
日本で一般的に言われている意味での終身刑を置いている国は少数です。
2007/12/01 (土) 00:40:53 | URL | muki2007 #-[ 編集]
コメントありがとうございます
どうもはじめまして。
有益なサイトを紹介していただきどうもありがとうございます。

*念のためお断りしておきますと、記事の内容は競技ディベートの記録であり、発言者の意見がそのまま表明されているものではありません

紹介していただいたページについて簡単に目を通してみました。
現行の無期刑が実際にはかなり長期の拘禁を意味していること(そもそも無期刑は刑の終了がなく保護観察のつく仮釈放しかない)、海外のいわゆる終身刑では仮釈放が認められていることなどは、死刑のディベートを行うに際して調査しましたし、実際に上記の試合でも反映されているところですが、確かにそのような理解が一般に広がっていないという現状はあると思います。

その上で上記サイトを見ると、「死刑は必要であるものの、現状では無期刑が軽く見られすぎているために死刑が過度にあおられているのではないか」という問題意識から無期刑の現状を説明しており、その方針はそれはそれとして説得的であり、刑事政策を議論するうえで有益な問題提起だと思います。

しかしながら、海外では終身刑が死刑の代替として用意され、その上で長期拘禁の残虐性を考慮して仮釈放の措置が用意されてきているというのであって、そのような経緯からすれば、無期刑について論じるのであれば、その前提として死刑を廃止するという選択についての検討が必要であろうとも思います。
(上記のディベートで僕は便宜上死刑存置の側に立っていますが)死刑の犯罪抑止力については統計上も理論上も認めがたいというのが世界の趨勢であり、人道的見地からも支持することが難しい刑罰であると考えられます。

無期刑の現実について考えることも重要ですが、死刑の安易な肯定を戒めたいという立場を取られるのであれば、そもそも死刑を肯定してよいのかという部分についても、今一歩踏み込んだ考察がされるべきではないかという感想を抱きました。
(勝手なことを言っているのは承知のうえです…)

何にせよ、目先の凶悪事件に対して死刑を要求したりするような近視眼的なものの考え方ではなく、刑事政策として凶悪犯罪者に対する処遇をどうすべきか、考えていく必要があるということでしょうね。
2007/12/01 (土) 16:41:25 | URL | 愚留米@管理人 #tX1BiP8k[ 編集]
管理人のみ閲覧できます
このコメントは管理人のみ閲覧できます
2011/10/31 (月) 22:11:59 | | #[ 編集]
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2008/01/31(木) 13:12:04 | Tabula Rasa
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