愚留米の入院日記
日当たり良好の某法科大学院既習病棟を退院した法務博士の日記。しかし内容はほとんど趣味のディベートの話
2007年JDA秋季大会参戦記(11:JDA決勝Ⅶ[2NR&2AR])
JDAも近いということで頑張って、勢いに任せて最後までトランスクライブを終えました。というわけで、今日は第二反駁をまとめてアップします。

全然関係ないのですが、今日は学部時代のゼミのOBOG会があります。ガラス棟付属予備病棟では基本的に各学期ごとにゼミに応募する(僕のいた頃は一度も取らなくてよかったが今は最低1回必修だそうです)ことが可能で、僕は一応毎学期とも何かしらのゼミを取っていたのですが、その中で性格に似合わず会社法のゼミなんかを履修したことがあり、そのOB会ということです。
会社法のゼミはいわゆるリア充系(?)のエリートがたくさんいて、僕の同期でも3人現行司法試験に合格した秀才がおりますし、先輩方もその多くが大手事務所の弁護士や裁判官だったりする恐れ多い集団でした。そんなところに僕のようなヘタレ入院患者が顔を出すべきなのかという気もするのですが、先生にはいろいろお世話になりましたので(もっとも、推薦状を書いてもらった某W大ロースクールは志望動機の適当さを突っ込まれて落ちた…笑)、顔だけでも出すことにします。司法試験に落ちたらもっと恥ずかしくてますます行けなくなってしまいそうですし。

以上、当ブログの趣旨にのっとってローにまつわるローテンションなおはなしでした。ここからは決勝スピーチです。

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○ 2NR
2NRは僕の担当です。文面からもスピーチのぐだぐだっぷりがにじみ出ておりますが、実際にもぐだぐだなスピーチで、チーム名(ITB-ばるさみこす)からも分かるように、まさにつかさ的な「なんじゃこりゃ~」の2NRになっていました。関係的にはかがみになるはずなんですけどね。…意味の分からない人は気にしないでください。

最初にですね、彼らのまあスタンスと称される始めの議論のほうから見ていきたいと思います。彼らがいろいろ言ってるんですけど、人間の尊厳が大事とかまあ言ってるんですけど、まず一点目に確認してほしいのは彼らが言っている人間の尊厳っていうやつなんですけど、それと生命権を彼らは混同させようとしているんだけど、それは違うんだよってことを私のパートナーが言ってました。だから、生命権っていうのは制約されうると、これはシュライバーさんが述べてますよね。彼らが、なんかその最後に読んだエビデンスで、最新の87年のエビデンスで証明したって言ってますけど、違いますよね。それは、無制限でないという2006年の…すいませんね、こんな年号の話してもしょうがないんですけど、まあ、そういう見解がある。だから彼らが、生命権は絶対であると主張してますけど、人間の尊厳とイコールじゃないんですから、彼らが混同している以上この議論は取れない。ですから、制約されうる。
普通に考えてもそうですよね。私もさっきこれ言った、これもドロップされてるんですけど、デメリットの話ですね、いいですか、普通の殺人者の命と、無辜の人命の命ってどっち考えたらいいかっていったら、それは無辜の人命のほうが大事だってはなししてますよね。だからここも伸ばしてほしいんですけど、要するに、犯罪抑止って目的があって、それも生命権ですからね、それがあるんだったら制約されても仕方ない状況があると思います。
そして、まあ彼ら判例は古いって言ってますけど、判例もそれを肯定しているわけです。少なくともだから憲法違反ではないと思います。これは、彼らはそれを上回る理由を出していないんですけど、少なくとも違憲じゃない。さらに、彼らは条約がどうのこうのって言って何か95条2項…8条2項[98条2項と言い誤った]って言ってますけど、彼らはそういうね、死刑を廃止する条約とか、あるとか言ってませんから、これもね、結局彼らが、その、国際的な精神に反しているっていう証明は、始めからないってことを、確認してください。

次に行きます。彼らがね、もうひとつの議論っていうのは、彼らが前提として言っているのは、死刑じゃなかったら人間の尊厳が守れるってことを前提にしていると思うんですけど、それも彼らはちゃんと証明していない。それに対して私たちは何を言ったかというと、まあ彼らがどういう立場に立たれるか分かんないんですけど、今無期刑っていうのはすごい終身刑化してるんですね。そういうものが、より人間的でないっていうこと言ってますよね。これはですね、あの、再犯のところで言いましたか? このエビデンス伸ばしてください。これが残ってます。これだけで、より人間的でない、つまり彼らの価値観に立ったとしてもより人間的でない、まあ死刑廃止によってそういう結果になってしまう、のであれば、ここに投票してほしいと思います。これは、彼らの価値観にのっとってますからね。はい。

次に行きましょう。残忍化。残忍化という話がありましたけど、まあこれはですね、まず私のパートナーの議論が残っていると思います。まあバウアーさんの話ですね。要するに、はじめから刺激されなくてもやってるんだ。はじめ刺激されてやるっていっても、それは早まっただけだと。まあそれはいくらかかもしれませんけど、少なくとも彼らの読んでいる、坂元ですか、日本の話、まあこれもどういう研究してるのかよく分からないのですけど、これがですね、この数字をそのまま真に受けるなってことは言えていると思います。この中の多くっていうのは、多分まあ三ヶ月後か四ヵ月後かいつかしりませんけど多分やってたんだと思います。まあそれは返ってないと。
さらに、私のパートナーが述べた、規範意識の話を伸ばしてください。これはですね私が反駁の中で述べた、思いとどまっている人がたくさんいるんだっていう本江さんのエビデンスをデメリットの1で読んだんですけど、これと同じだと思います。つまり、思いとどまるようになるって効果が一般的に認められると思います。ですから、彼らの言う残虐化効果だけがあるってことはない。ですからここは投票理由になりません。

じゃあさらにですね、じゃあデメリット1行きましょう。彼らはいろいろ言ってましたけども、これはですね、リアルな実例を取りましょう。ヤクザです。ヤクザ。で、ヤクザについて彼らは、イタリアの話を何かイタリアでは実は、何ですか…何かイタリアでは…何かその戦後の混乱期だから例外だって言ってますけどこれはですね、まあ2ACで言ってほしかったなっていうのが一つあると思います。まあイタリアはですね私、始めから言ってますよね。
で次にですね、まあそれはあるんですけど、私たちの理屈ですね、なぜ、ヤクザが、死刑がなくなると人を殺すのかっていう理屈は完全に落ちてますからこれを伸ばしてほしい。それで、日本にヤクザがいる、いっぱいいるっていうのは公知の事実ですから、ここから、犯罪が増えるということが言えていると思います。
でさらに、でそれが立ったら、まあ犯罪者より一般市民を優先すべきって論理になりますから、彼らがいう生命権の理屈に立っても、これがVoterになる、ってことは考えておいてください。

で次に最後。…最後じゃないですね。あの…リスクがあると。犯…戦争のリスク。これはですね、やはり彼らはクリアにできてなくて、まあ、あの、目の前にある危機を、あのヤクザが暴れないようにするってことの方が、ずっとクリアだと思いますからこれは投票理由になりえないと思います。

でですね、もう一つ最後に伸ばしてほしいのは、あの伸ばしてっていうか…あのですね、これ一番大事な議論っていうのは何かって言いたいんですけど、これはですね、あの、始めのスタンスのところで私のパートナーが3点目ぐらいに述べた理由付けのことで、人間の尊厳を確認するために死刑があるってことです。これ正当化根拠です。彼らは結局、死刑は絶対だめだって話を、結局一つも証明していないと思います。再生可能性の話も、彼らは終身刑の話…何か終身化してるって話してますよね。まあ終身化しないとするとやっぱり再犯が起こってやばいっていうのはこれは認められてると思うんですけど。
でね、死刑ってどういうことか、これはですね、どういうエビデンス読んだかっていうと椎橋さんの話を読んでるんですね。刑罰っていうのは、人間の尊厳の、価値の再確認という正当化根拠があって、儀式として正当化される。これは法的に正当なんだってことをちゃんと私たち示している。ここを伸ばしてほしい。つまりどういうことかっていうと、死刑には今、理由がある。で、それをないっていうんなら彼らに証明責任があって、もうそれがだめなんだと、言わなきゃいけない。だから立証責任はあくまで、肯定側にある、これは私たちが、[時間切れ]意味をちゃんと正当化したから、示している、ということです。


詳細な検討は後日書くとして、ざっと気になったことを書いておきますと、最初と最後にやった立証責任の議論を頭にまとめ、もっと丁寧にやっていれば…というのが一番の反省です。
Negが言いたかった(あるいは言いえた)立証責任の議論は最終的に2段構えになっていて、第一に団藤氏のエビデンスは人間の尊厳に立脚する生命権というロジックで立証責任を転換しようとしているがそれは成立しないということ(関連してAffの言う人間の尊厳は終身刑化した無期刑でも守られないこと)、第二に死刑は人間の尊厳に立脚した正当化根拠があり、逆にそれを否定するAffに立証責任があると考えるべきだということです。このように整理した形で議論を再構成できていれば、多分勝ってたんじゃないかなぁと。
各論については、ここまでの議論を前提とするとこのくらいしか言えなかったとは思います。規範意識の話は「思いとどまる」人のことは統計に出ないという指摘ができたかもしれませんが、これはもっと早く指摘すべきともいえ(エビデンスもある)、2NRのミスというより議論選択のミスだったということでしょう。

○ 2AR
Affの最終スピーチはおそらく日本最強クラスのディベーターである安藤さんが担当しており、見れば分かるとおりほとんど無駄が無く聞き取りやすいスピーチでした。僕のスピーチがつかさだとすれば、2ARはやる気全開のみなみといったところでしょうか。これも意味の分からない人はスルーしてください。
ディベートのスピーチにはいろんな形がありますが、安藤さんのスピーチは極限まで無駄を省くという一つの理想系だと思います(まだ向上できるとおっしゃられるのでしょうが)。他にも、もっと情緒的でねっとりとした(?)スピーチとか、勢いのあるスピーチとか、いろいろ理想のスピーチの形はありうるのですが、無駄のないスピーチというのは純粋に議論の内容を突き詰めるという意味では、競技ディベートの目指すべき理想を体現したものであり、競技ディベートに関わる諸氏としては一度聞いていただきたいところです。

まず肯定側のスタンスの議論を、えー、見てもらいたいと思います。団藤氏の証拠資料、これは完全に落とされています。もし、決定的な証拠がないのであれば、死刑、こういったものは廃止するべきであり、死刑を存置する側こそがこの…検証責任を負うんだ、ということ自体は認められています。
そして、B、主体が日本であるということ、憲法においては、えーと憲法っていうのは日本国が従わなければいけない原理であるということ、このことについても認められています。

そして論点2の点。奴隷制度であるとか、人種差別、拷問。こういったものを皆さん、やらないですよね今。今やろうと主張したら、頭がおかしいって思われるだけです。で、死刑制度は、それと同等のものであるというのが肯定側の主張なわけです。その理由が、論点3のAです。人間の尊厳を奪ってるということです。彼らは、終身刑が人格を破壊する、終身刑がひどいってことを言っていますけれど、終身刑ではありませんから肯定側は。無期懲役です。で、それは何を…何を意味するかというと、彼らが再生可能性を持つことができるということです。この点が一番重要です。そしてそのことは条約においても義務付けられていて、憲法はその条約を守る義務がある、だから日本は、こういった死刑廃止をする義務があるというのが肯定側の主張です。ネットベネフィットとは何の関係もありません。
そして大道寺将治の証拠資料、2ACの証拠資料を、伸ばしてください。死刑は…死刑は全く望みは無いけれども無期懲役であれば、塀の中の人生でも人生であると割り切って、望みを持って生活することができるというのが私たちの主張です。
そしてさらに、1ARの、えー、この議論を伸ばしていただきたいんですけど、殺人犯であったとしても死ぬことが公共の福祉にならないと、はっきり言っているわけです。ですから、少なくとも殺すということまで正当化、否定は否定側はできていません。

続いて…恐慌化[残忍化]の議論。まず、私たちの2ACの議論、これが完全にドロップされています。坂元氏の研究によれば、日本国内においては、恐慌化の影響のほうが、えー抑止効果よりも上回ったと、この議論が完全に落ちています。そして、彼らの議論はアメリカの分析で、全くそれは日本とは状況が違うわけですから、全く当てはまりません。
そして、規範意識がどうこうということを言っていますけど、結局はそれは統計データに現れるものですから、統計的にこういった効果が現れない以上恐慌化のほうを取らざるを得ません。

戦争抑止について。あ、戦争の…抑止について。この点についてもリンク自体は完全に認められています。そして、リスクが小さいとか、リンクがないと言っていますけれど、現に、日本がイラクに対して戦争協力してしまっている。この状況を何とかしなければならないというのが肯定側の主張です。そして解決性でも示されてるように、死刑廃止をすることによって多くのことが変わると鵜飼氏が証明しているわけですからこの証明を崩さない限り戦争のリスクは残ることになります。これは、犯罪の多少のリスク、こういったものははるかに上回るものだと思います。

デメリットに行きましょう。まずデメリットのリンクのところで、統計的データによって争いについては肯定側の議論が、完全に残っています。CQリサーチャーの議論、そして、それはテキサス州のみで、えー抑止効果は多少あったけれどもほかの州では全く無かったと。でそのテキサス州はどういうところかというと、あのー、日本換算で2000件も死刑を執行しなければいけないというような、そういう状況にあるということが認められています。
そして、えーと無期の、無期懲役の方が抑止効果があるというベッカリーアの資料、これが完全に落とされています。それを伸ばしてください。えー、時間効果のほうが、その死刑によるインパクトよりもはるかに大きい、そのことによって私たちは犯罪の抑止をよくすることができるといえます。
そしてマフィアの議論。マフィアの議論というのは、結局、統計に埋没してしまうという程度の数字でしかないはずです。えー、これは、マフィアの…ヤクザの犯罪というのも統計に当然カウントされるわけですから、その統計が、えー恐慌化の方が大きいと言っている以上、マフィアの議論だけで、これで否定側が勝てるとは、とても言えません。そして、私たちの、えーと…2ACの議論。ヤクザの犯罪というのは死刑では抑止できないという議論。これも落とされていますので、これも伸ばしてください。

再犯の議論について。再犯の議論については、え…っと私たちの議論…無期懲役が終身刑化しているという議論を伸ばしてください。終身刑化しているとはいっても無期懲役ですから希望は残っている。ですから人間の尊厳には反しないわけですからこれは肯定側の議論と矛盾しません。


主要な論点について全て言及した上で、Affに有利となる点は全て指摘するというスピーチで、試合をまとめるという観点ではほぼ完璧だったと思います。面倒だったので意図的にスルー(ドロップ)した議論も含めてきちんと伸ばされ、さすがに甘くないなぁと思いながら聞いていました。特に、DA1の犯罪抑止に関しては、テキサス州の議論を伸ばしつつ一般論の部分をきちんと説明されていて、統計データでは勝てていないという印象を確固たるものにされたのが大きかったです。

その上でなお疑問があるとすれば、やはり再生可能性と無期懲役の扱いについてでしょう。Affの言っているのが終身刑でなく無期懲役であるということはその通りですが、Affは2ACにおいて自ら「凶悪犯は丸特無期として終身刑化している」と述べているのであって、その実質は終身刑であるというべきです。もし「制度上は無期懲役である」という理屈が正しいとすれば、死刑を浄化刑とでも言い換えれば人権上の問題はないということにもなりかねず、この点は詭弁といわれてもしょうがないと思います。
Affとしては、2ARの最後で「希望はある」と述べていることをもっと説明して、扱いとしては終身刑に近くなっているけど制度上仮出所は可能であって反省の態度があれば例外もありうるし、死なない以上死刑よりはまし(大道寺のエビデンス)、という形で死刑と無期刑の違いをクリアに示せたと思うのですが、その不備をNegがうまく突けなかったという点も含め、今回の試合を複雑にしてしまった一要素だといえましょう(講評でもそのように指摘されていた)。

次回は、試合全体を振り返り、実際の試合展開で指摘されるべき問題点やありえた他の展開を考察した上で、今大会の取り組み全体を反省してみることにします。
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2008/02/24 (日) 16:50:02 | | #[ 編集]
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