愚留米の入院日記
日当たり良好の某法科大学院既習病棟を退院した法務博士の日記。しかし内容はほとんど趣味のディベートの話
ディベート甲子園ルール逐条解説(1.大会出場要件)
刑訴法の進みが予想以上に遅く、予習が1回分余って(?)しまいました。というわけで、今のうちにディベート甲子園のルール逐条解説を淡々と書いていくことにします。

ディベートは英語を合わせても国内競技人口が3000人いるかどうか分からないというマイナー競技であり、その中でディベート甲子園の選手というとどのくらいなのか分からない(さらにいうなら、こんなルールの解釈で困る人間がいるとはとても思えない)のですが、どこかでお役に立てば幸いです。

もっとも、以下の記述は完全な私見であり、公式な解釈ではないということをお断りしておきます。また、記述に誤りがあっても一切責任はもてません。万が一ここを参考にしてみようという変わったディベーターがいらっしゃるとしても、基本的に誤っていると疑いをかけて読んでください。

それでは、初回のテーマである「大会出場要件」に関する規定の解説です。
つまらないテーマですが、初回ということもあり、やや丁寧に説明していきます。



第1章 大会の出場要件

1.1 チーム人数の規定及び人数不足時の手続[細則A-1~3項]

1.1.1 総説

全国中学・高校ディベート選手権ルール(以下「ルール」という)では、大会の出場要件を定めている。他の試合に関する諸規定は、当該試合に参加しているチームが大会出場要件を満たしていることを当然に前提としている。
よって、ルールの諸規定を解説するに当たっては、この点を第一に見ていく必要がある。

大会の出場要件については、ルールでは細則A――出場選手に関する細則――に規定がある。もっとも、ここでは大会の登録選手人数に関する規定が設けられているだけであり、常識的に出場要件と考えられる要素について何らの規定も存在しない。
ディベート甲子園の運営実務においては、大会出場資格は当該大会を主催する地区の裁量に委ねられていると解されている。従って、全国大会予選の段階での出場資格は比較的柔軟に解されており、例えば東海地区では全国予選を兼ねた夏季大会においてA論題(全国論題と同一)とB論題(地区独自の論題)の部を用意し、それぞれに代表枠を用意するとともに、同じ後項がA論題とB論題の両方にチームを出すことが認められている。また、東北地区では二つの学校が合同して結成したチームの予選出場を認めている(福島県立磐城高等学校・福島工業高等専門学校の合同チーム。2006年開催の東北地区予選大会)。
しかしながら、予選における大会出場資格と全国大会における大会出場資格については違いがあり、予選では出場が認められている場合も、全国大会では出場が許可されない場合があると考えられる。この点については後述するが、こうした解釈はルールの明文に根拠があるものではなく、立法上一層の検討を要する。

以上で分かるとおり、大会の出場要件については、ルールの明文を見るだけでは必ずしも明らかでないところがある。この点を踏まえた上で、ルールの文理・趣旨から直接的に導かれる点と、政策的に考慮されるべき点を区別して考えることが求められる。

1.1.2 人数の制限

ルールは、大会に登録できる選手の人数について、次のように定めている。

細則A 
1.大会の登録選手は4~6名,各試合の出場選手は4名とします。ただし,事情がある場合には2名あるいは3名での登録及び試合出場を認めることがあります。認められるのは,4名以上が出場するよう努力をしたにもかかわらず,やむをえず4名以上の出場ができなかった場合に限られます。


ここから分かるように、ディベート甲子園では4~6人のチームを標準と考えている。
一般に競技ディベートは2人で1つのチームを構成する場合が多いが、ディベート甲子園では学校ごとに1チームしか編成できないとされる(後述)ことから出場人数を多くして参加できない生徒を少しでも減らすということ、また多人数でのチーム内コミュニケーションという要素を尊重する見地から、各パート1人という編成を標準としていると考えられる。このように考える場合、4人を超える登録の際に生じる1人ないし2人の余剰人員はいわゆる補欠であり、試合に出る必要は必ずしもないということになる(第2章で関連して解説する予定)。

問題は、4名を下回る編成のチームの大会出場資格である。この点、ルールは「4名以上が出場するよう努力をしたにもかかわらず,やむをえず4名以上の出場ができなかった場合」に、特例として2人ないし3人でのチーム編成による大会出場を認めている。1人による出場が認められないことはいうまでもない。
それでは、このような特例が認められる要件には具体的にいかなる事情が考えられるか。細則Aに規定された例外要件の趣旨は、故意に特定のチームメンバーを排斥し、少人数での出場を意図する行為の排除である。経験の浅いディベーターを出場させるより、能力の高いディベーターがパートを兼任した方が効率的であるなどの理由から、大会で勝ち抜くためにわざと特定のメンバーを外して4名未満のチーム編成を行うということが考えられる。このような行為は、前述した4名以上をチーム編成の原則とする趣旨に反するものであり、このために規制されると解される。
こうした事情を除く、チームのメンバー不足や病欠といった事情での欠員がある場合は、2人ないし3人でのチーム編成による大会出場が認められると解すべきである。「4名以上が出場するよう努力をした」ということを厳格に解し、チームメンバーの募集を怠ったことにより出場資格を失うということは、ルールの予定するところではない。

1.1.3 特例適用時の手続

前項で述べた、人数不足時の特例を適用すべきチームについては、別途の手続が法定されている。

細則A
2.2名あるいは3名での大会登録を希望するチームは,大会登録時に申込用紙に事情を記入しなければなりません。主催者が事情を認めた場合には,大会への出場が認められます。
3.4~6名で登録したチームが,大会当日になって2名あるいは3名で試合出場を希望する場合には,主催者にあらかじめ事情を説明しなければなりません。主催者が事情を認めた場合には,大会への出場が認められます。


細則A-2項でいう「事情」は、前項で述べたようなもので足りる。主催者は、この事情が故意にチームメンバーを制限したものでないことを確認した場合、特例出場を認めるべきである。これは、3項についても同様である。

なお、これらの手続を欠く場合に大会出場資格が備わるかが問題となるが、ルール上は手続不備のチームに大会出場資格を認めるべきではない。
2名ないし3名でのチーム編成であるにもかかわらず事情の説明がない場合、大会主催者は速やかにこの点の釈明を求め、手続の履行を促すべきである。

1.1.4 その他当然に要求される要件

ルール上、大会出場要件について定められたものは以上で全てとなるが、その他、大会の性格から当然に要求される要件がある。
これらの要件は、ディベート甲子園に関係する全ての大会に要求される必要的出場要件(前述の法定された要件も含む)と、予選においては必ずしも要求されず全国大会においてのみ要求される全国大会出場要件の2つがある。これらについて、それぞれ説明する。

(1)非法定必要的出場要件
ディベート甲子園は中学の部と高校の部の2つに限って開催されており、それ以外の選手が参加することはできない。
すなわち、中学の部では中学1年~3年、高校の部では高校1年~3年のみが出場することが可能であり、これ以外のメンバーを含むチームは大会出場資格を欠く。高校の部については、高等学校もしくはそれに準ずる学校(高専、民族学校など)に所属する生徒以外は出場できないと考えておくのが無難であろう。
なお、高校では留年の可能性があり、留年生の出場資格をどのように扱うかが問題となるが、この点は公平の観点から入学から3年の期限を優先させ、留年生については実質4年時以降の出場が禁止されていると解すべきである(もっとも、この点は地区大会に限っては裁量によって認める余地がある)。

(2)非法定全国大会出場要件
ディベート甲子園、とりわけその全国大会では、各学校の代表校が試合を行うことになっている。従って、出場できるのは各学校で1チームだけである。予選においてこのような規制は必ずしも適用されないが、全国代表校として認定されるのは各学校1チームである。予選で同一学校に属する複数のチームが代表枠を争う場合、それが同一の部活動やグループでないという場合にも、同じ学校としてこの制限に服する。
なお、立法論として、学校の連合チームによる全国大会出場を認めるべきであるとの議論もあるので、簡単に私見を述べておくことにする。結論からすると、そのような処置は各学校の代表による大会というディベート甲子園の趣旨を損ねるため、望ましくない。連合チームを認めることで参加がしやすくなり、参加校増加に資するという見解も、そのような安易な出場を認めることがかえって各学校での勧誘活動を低調にして競技の発展にマイナスであるという指摘が可能であるし、2004年の法改正でチーム編成の例外を認めていることから、人数不足による出場の断念という事態はほとんど考えられない。また、連合チームを認めることによるチーム引率その他の実務的処理が困難であるという問題も看過できない。以上の理由により、連合チームによる全国大会の参加は認めるべきでない。
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